~ ある特許事務所の代表のお話です。 ~
初めに、ニッチとは…ニッチとは「隙間」の意味である。
大企業がターゲットしないような小さな市場や、
潜在的にはニーズがあるが、まだビジネスの対象
として考えられていないような分野を意味する。
① 不況に関係なく売れる粗利70%の”ニッチ商品”もある。 リーマン・ブラザーズの破たんから始まった世界同時不況。あれから
1年以上経過した現在も不況は続いている。部品製造や下請け加工が
主流である中小の製造業はさらにひどく、新潟三条・東大阪など中小企業が
集約している地域は火が消えた状況と聞く。
世間が不況であるからといっても何も行動を興さなければ、ジリ貧となり
将来の見通しがつかない。生き延びていくためには、新しいマーケットを
開拓しなければならない。だが、単に新商品を開発したとしても、この
不況下だあっては簡単に売れるものではないだろう。
しかし、この大不況でも着実に売れている商品がある。それがニッチ商品だ。
ニッチ商品とは、年商が3億円以下の小さなマーケットで、販売先が主に
企業の業務用に特定された特殊な商品のことを指す。
業務用であることから特定の業界では必ず売れ、景気の変動に左右され
にくいという特徴がある。1番のメリットは、マーケットが狭いため大企業が
参入してこないことだ。また、競合企業が少ないことから利益率が高く、
粗利が70%もあるようなことも珍しくない。
② 画期的な自動タマネギ剥き機で人件費が1/6に激減 ニッチ商品で成功した企業の一つとして、タマネギの皮を剥く機械を販売している
企業がある。(東京都・従業員5名)
台にタマネギを載せると、ヘタと根の部分を切断し、表皮を剥く作業を
自動的に行う機械である。手作業に比べて約6倍の速度で処理することが
でき、単純に考えて、人件費を1/6に減少させることができる。
さらに作業員がタマネギ特有の刺激臭から解放されるので、作業現場の
環境を良好にできる大きな特色がある。
また、廃ダンボール箱を加工して緩衝材を製造する機械を販売している
企業がある。(埼玉県・従業員40名)
工場などの部品を納品する際にダンボール箱が用いられるが、大半の
ダンボール箱は廃棄される。この廃ダンボール箱を加工し、弾力のある
緩衝材に変える機械である。
加工された緩衝材は工場から出荷する商品と箱の間に挟み入れ、衝撃で
商品が破損するのを防止するためにもちいられる。従来購入していた
緩衝材を廃ダンボールをで代用できるので、工場では資材購入費を減少
させ、経費を節約できるメリットがある。条件にもよるが、この機械を
導入した工場の中には数カ月で投資資金を回収した例もある。
③ 企業の省力や経費削減につながる小さなマーケットを 狙え!! よくスーパーなどで、変わったデザインで便利そうなアイデア商品が販売
されていることがある。プラスチックでできた安価なものが多く一見
便利そうだが、実際に使ってみると見た目ほどには能力がないものが
大半である。
これらの商品は消費者が手を出しやすい反面、思ったほど使い勝手が
良いものではないことが判ると2度と購入してくれることはない。
だがニッチ商品であれば、企業や職場での省力化や経費削減に効果が
あるため、リピートで購入してくれる可能性がある。商品開発の最初の
段階で、ニッチ商品と間違えてアイデア商品を選択すると大きな失敗を
する原因になる。
では、付加価値の高いニッチ商品を開発するためにはどうしたらいいの
だろう。それは、不便さや無駄を見つけ、それらを解消する方法を
考え出すことである。
前述のタマネギ剥き機を扱う企業の本業はレストラン経営であり、
毎日毎日大量のタマネギを剥かなくてはならなかった。しかし、
タマネギを大量に剥くと異臭が発生し手先ご汚れるため、作業する
パートの離職率が高かった。パートが定着してくれないと本業が
成り立たなくなるため、作業現場の環境改善をする必要があった。
だが既製品には満足できるものはなく、自社開発に迫られたので
あった。
緩衝材を製造する企業は、梱包資材の問屋であり、工場などに
ダンボール箱を納品していた。納品したダンボール箱は商品の
輸送に利用され、後は廃棄されていた。新品のダンボール箱が
一回だけしか使われず、廃棄物となるのは無駄なことである。
廃ダンボール箱を再利用できれば省資源となるし、同時に工場で
使用する緩衝材の購入費用も大幅に削減できる、と考えたのが
が始まりであった。
不況の為、どの企業も設備投資をしなくなったと言われるが
人件費や経費が安くなるのであれば、企業の利益に直接繋がる
ので新製品であっても購入してくれる。
企業には省力化や経費削減につながる小さなマーケットが
未だ多くねむっている。中小企業にとっては大きなマーケット
である。不況であっても確実に売れるニッチ商品のマーケット
を見つけオンリーワンを目指すのも、中小企業が生き残るため
の一つの選択ではなかろうか。